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とあるポケモンの悲劇 4(完)

 ――ヤトウモリがフィラの実をやけ食いした夜が明け。
「それで……話ってなんだ? ヤトウモリ」
 呼び出されたトレーナーは、恐る恐ると言った様子で訊ねると、ヤトウモリは覚悟を決めた目で言い放った。
「……あっしを、パーティから抜けさせていただきてぇんです」
「……っ」
 ある程度予想していたとはいえ――本当にそう言ってくるとは。
「ヤトウモリ、お前が進化したがってたのはよく分かってる――だが、俺にはお前が必要なんだ」
「……そう言っていただけるのは、素直にありがてぇことです。けど……」
「……抜ける気は、変わらないんだな」
 わずかに申し訳なさそうに――それでも、確固たる決意を滲ませ、ヤトウモリは頷く。
 それを見たトレーナーが顔を伏せた瞬間に、ヤトウモリは続けた。
「――ご主人、最後に、あっしのわがままを一つ、聞いちゃあくれませんかね」
「……ああ、何でも言ってみろ」
 どんな望みでも叶えてやるよ、と続けたトレーナーの顔を見て、ヤトウモリはほっとした表情を浮かべた。
「……あっしとて、道半ばでパーティを抜けるのは、正直悔しいんでさぁ。とはいえ、あっしが抜けても、ヤトウモリが残ることは出来る。パーティの穴は、埋められる」
「……? どういう意味だ?」
「――あっしを、預け屋に入れてくだせぇ。相方は……まぁ、あの中で見つかるでしょうや」
「……あっ! そういうことか!」
 ――ここへ来る途中に見かけた、ポケモンあずかり屋。ポケモンを預けておくと、時々ポケモンのタマゴが見つかるのだと言う。
 つまり、ヤトウモリは――自らの子に、後釜を託そうと言うのだ。
「一から育て直す手間はかかっちまいやすが……それでも、♀のヤトウモリを育てる方が、あっしを育てるよりも遥かに建設的でしょう」
「……お前……」
「それに、一つだけ道具を持たせていただきたいんです。かわらずのいし、確か持ってやしたね?」
「あ、ああ」
 鞄の中から、かわらずのいしを取り出して、ヤトウモリに渡す。それは文字通り、ポケモンに持たせておけば進化しなくなるという、不思議な力を持つ石だ。だが、かわらずのいしにはもう一つの力があった――
「……進化できないあっしがこれを持つってのも、なかなか皮肉なもんですがね」
 苦笑したヤトウモリが、かわらずのいしを小さな手で弄ぶ。
「――ご主人が喜んでくれた、あっしのひかえめな性格一つ継いでもらって、立派に成長してくれることを祈りやすよ」
「……絶対に、育てて見せるよ。約束する」
 涙がこぼれる一歩手前の目で、ヤトウモリに語りかけた。
「そいつぁありがてぇ。よろしく、お願いいたしやす」
 そして、ヤトウモリは深々と頭を下げ――
「今日まで、ありがとうございやした」

「――というのが、お前さんの親であるオヤジ……ヤトウモリの話だァの」
「へぇ……そんなことがあったんだねぇ、初めて聞いたよ、アタシ」
 ヤトウモリがパーティを抜け、数週間後――神妙に語り終えたガントルの前にいるのは、しなやかなボディが特徴的な、エンニュート。
 ヤトウモリの進化形――元・パーティの一匹だったヤトウモリの娘に当たるポケモンである。
「まったく、アイツと来たら意外と図々しい……まさかお前の……後進の育成補佐を頼まれるとは思いもせんかったのォ。おかげでワシも、パーティを抜け損ねた」
 ちなみに、エンニュートの先代であるヤトウモリは、今はオヤジとニックネームを変えて、ボックスから仲間の健闘を祈っている。
「今でも立派に活躍してんじゃないのさ、ガントルさん。同じいわタイプのルガルガンさんはバカで軽いから、一人ぐらいどっしりしたメンバーがいないとまとまんないよ」
「カッ、ご主人がいい加減交換に付き合ってくれる友人を見つけてくれりゃァ、今の倍活躍してやるんだがの」
 ぼやくような調子で呟いたその言葉に、エンニュートが楽しげに言う。
「大丈夫! その分、アタシがガンガン活躍するからさ!」
「頼もしい限りで結構なことだァの……アイツのひかえめな性格を継いでいるとは到底思えんわ」
「おーい、ガントル、エンニュート! そろそろ行くぞー!」
 少し離れた場所から、おやであるトレーナーが呼びかける。
「……さて、主人殿もお呼びだ。行くとするかのォ、エンニュート」
「だね! アタシの育成で旅をずいぶん遅らせちまってんだ、父さんの分もきっちり働くよ!」
 そうして、二匹は主人の下へと駆け出した。
 しかし、少し進んで、エンニュートが振り返る。
「――ガントルさん、遅いよ! 置いてくよー!?」
「いわタイプのワシに無茶言うな! 主人殿、とっととボールに入れとくれィ!」           (完)


というわけで。
「とあるポケモンの悲劇」、無事完結です。ヤトウモリ(♂)のショックがこんな形にまとまるとは思いませんでしたが。
むしろキラーハウス狂想曲より話のスピードが早いってなんなの……?
あ、でも明日はそっちも更新か。地味に忙しい。

ウチのパーティ事情は、まぁだいたい書いた通りって感じですね。
ジュナイパー、ルガルガン、色違いの赤いバタフリー、ハリテヤマ、ガントル、そしてエンニュート。
今作はあずかり屋の前に廃人スペースなるものがあると目にしたので、そこを利用させてもらいました。あのケンタロスに乗ってぐるぐるするとこ。恐ろしい速度でタマゴができる、孵化するを繰り返してました。
5,6個卵を孵化させて、ようやく♀のヤトウモリが出ましたね。偏りがすごい。
そのあとは主にゴース・ズバット・ディグダをそこそこの数食べさせて(努力値計算までは面倒なのでしてないですが)、どうにかこうにか進化にこぎつけました。でも改めて見ると、ああなるほどこりゃ♀しかなれないなっていうのは何となく分かりました。

あとスーパーメガやすの試練も突破したんですけど、ヒェッてなりました。何をとは言いませんけど、試練が終わった後に確認しに行ったらマジでないでやんの。ガチのホラー体験じゃないっすか。ああいうのはぞっとしますね。

……最近ポケモンの話しかしてない……。
他に話題もないんですけどね?

では、今日はこのあたりで。
ではではー。


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by akr-hgrs | 2016-12-19 20:58 | Comments(0)

物書きの蝉、もとい物書きの日暮晶が綴る、雑な日記のようなもの(予定) ご連絡等ございましたら q65e3r@hotmail.co.jp までどうぞ
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