とあるポケモンの悲劇

「本当に……すまない……」
 そのトレーナーは、手持ちである一匹のポケモンへとそう語りかけていた。
 道中でもらった卵から孵ったポケモンで、始めて見たその姿に何となく愛着がわいたので手持ちに加えた。
 いつか、お前も立派に進化できる日が来る。楽しみだなぁ、なんて言って育ててきた一匹だ。
 しかし――
「ど、どうしたんですかい、ご主人? いきなりそんな……」
 一方のポケモンは困惑した様子で、ぽりぽりと頬を掻いている。
「今だって、ほら、他の先達の皆さんもいらっしゃるってぇのに、優先して育ててもらって……今じゃ、レベルだけ見りゃぁ上から二番目でさぁ。こうまでしてもらってんだから、謝られる筋合いなんざ……」
「いや……こればっかりは謝っても仕方のないことではあるんだが、それでも、謝らずにはいられない……俺にもう少し、トレーナーとしての知識があれば……」
「いや、だから一体何が――」
「――お前は、進化できないんだ」
 単刀直入に放たれた一言に、一瞬何を言われたのかとそのポケモンは動きを止める。
「い、いやいや、何の冗談で……? だ、だってほら、あっしにはあるじゃないですか、進化後の姿ってやつが。実際、ご主人だって見たでしょう」
「ああ……あのぬしポケモンだろう?」
 島めぐりの途中で見た、一匹のぬしポケモン。タイプの相性などから戦闘には出さなかったものの、その姿を見たトレーナーとポケモンは、試練を突破したあとにひどく感動していた。
 自分は、こいつは、いつかあんなポケモンになれるんだと。
「だが――お前は、あれにはなれないんだ」
「……あ、ああ、もしかして、あれですかい? レベル云々じゃなくて、道具とか、条件が揃える必要があるとか――」
「そういうことでも、ないんだよ」
「だったら、どうして――!」
 さすがのそのポケモンも、苛立って尾から炎を立てる。その様子を見て、トレーナーは帽子のつばで目を伏せた。
「……いいか、落ち着いて聞いてくれ。お前は――」
 そしてトレーナーは、自らも心を引き裂かれるような気持ちで、真実を口にした。

「――ヤトウモリは、♀しか進化できないんだよ」

「…………!!」
 そのポケモンは――ヤトウモリ(♂)は、絶句する以外に何もできなかった。    (了)



…………はい、唐突に始まった茶番劇ですが。なんでポケモンがトレーナーと喋ってんのとか、細かいことは言いっこなしで。もう喋れた方がシュール感がでて笑えるかなーと思ったので。

というわけでどうもこんばんは、日暮晶でございます。
自分はポケモンを、少なくともクリアするまではネットでの情報に頼ることは少ないんですね。初見のポケモンとかは何気に楽しみですし、どのぐらいで進化するのかなーとかっていうのも、知らない方がちょっとわくわくするので。
が、今回はそのやり方によってとんでもない大ポカをしたというお話です。

レベル40を超えても進化しないなーと思ったのが始まり。ほのおのいしを使うわけでもなく、さすがに条件が分からないのでネットで調べた結果、上記のように、ヤトウモリが♀しか進化できないという事実を知ったのが昨日の話。
いやぁ……結構なショックでした。下手をすると今作のポケモンで、ストーリーでどんなことが起こってもこれ以上の衝撃はないんじゃないかって言うレベルの。
で、その衝撃から生まれた茶番SSが上記のやつです。なんか頭の中ではもうちょっと続くので、気が向いたらその内放り込むと思います。

いや、だって、ビークインとかなら、あぁこいつ♀のミツハニーしか進化できないんだろうなーって思いますけど、エンニュートに進化できるのもまさか♀だけだなんて思わないですよ……勢い余ってかえんほうしゃまで習得したうちのヤトウモリが泣いてます。

ただ、やっぱりヤトウモリにショックを受けた人は少なからずいるみたいでちょっと安心。
ではでは、本日はこのあたりで。



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by akr-hgrs | 2016-12-14 23:21 | Comments(0)

物書きの蝉、もとい物書きの日暮晶が綴る、雑な日記のようなもの(予定) ご連絡等ございましたら q65e3r@hotmail.co.jp までどうぞ
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