「参ったな……」
 ――手持ち仲間のヤトウモリ(♂)が、進化できないということを知った日の夜。
 トレーナーの最初のパートナーであるジュナイパー(♂)は、ぽつりと呟いた。
 視線の先には、一人きのみを抱えてかじっているヤトウモリの姿がある。
「うぃ~、ひっく……ちきしょうめ……」
「……何も、自分から苦手な味のフィラの実を食べなくても……」
「ひかえめな性格のあいつでも、混乱しなきゃやってらんない気分なんだろうさ」
 ジュナイパーの隣で、バタフリー(♀)とハリテヤマ(♀)も、ぐれている仲間を遠巻きに見て言いあう。
 ぽりぽりとポケマメをつまみながらフィラの実をかじるヤトウモリの姿は、ヤケ酒で飲んだくれているおっさんの風格が漂っていた。
「……何か声を掛けてやりたいが……」
「なんて声をかけてやりゃあいいんだろうね……」
「なにせボクたち、全員進化しちゃってますもんね……」
 ふぅむ……と、三匹の間に重い沈黙が立ち込めた、そのとき。
「ケッ、メンドくせェ。一発発破かけてくりゃぁどうとでもなんだろ」
 心底どうでもよさそうに吐き捨てて、ヤトウモリへ近づいて行ったのは、ルガルガン(♂)だった。
「あっ、バカ、ちょっと待てお前」
 ジュナイパーの制止も聞かずに、ルガルガンはすたこらとヤトウモリへと近づいていく。
「オイオイザマぁねぇなヤトウモリよぉ! 進化できねェぐらいでずいぶんしみったれてんじゃねぇか、おォ?」
 バカ野郎、と三匹全員が思った。本気でヤトウモリを馬鹿にしているわけではない。それは分かっているが、今のヤトウモリにそのちょうはつはマズい。
「……あァン?」
 混乱特有の据わった目で、地雷を踏み抜かれたヤトウモリがルガルガンをねめつける。
「……オウオウ、いい目で睨んでくれるじゃねェか。やろうってのか? テメェにオレが倒せると思ってんのか? オレの方が強いに決まってんだろうが。それとも、進化もしてないテメェの方が強いってのかぁ?」
 ヤトウモリの方から、カチーン、と聞こえた気がした。
「……そうでしょうねぇ、タイプ相性はそっちのほぉが有利なうえに進化してんれすもんねぇ」
 しゃくり、とフィラの実を一つかじって、ぶはぁーっ、と毒ガス混じりのため息をつく。
「進化もしてないあっしに向かって、ルガルガンのアニさんもずいぶんイイこと言ってくれるじゃねぇですかい」
 ひっく、と一つしゃっくりをして、その短い手でルガルガンのたてがみを掴む。あれっ、何かしくじった? と今更ながらにルガルガンが顔を引きつらせる。

「……先達だからなのか進化してんだぁらか知らねぇスけどねぇ、あんまり刺激すっとそのタテガミ燃やしてカエンジシにすんぞ犬公」

 そして解放されたルガルガンが、青ざめた顔で三匹の下へ戻ってきて一言。
「……なんかめっちゃキレられた……」
「言わんこっちゃない……あんたバカなんだから余計なこと言ってんじゃないよ」
「ボクらが声をかけあぐねてた理由聞いてましたよね? バカなんですか?」
「俺止めたよな、バカ野郎」
「バカバカバカバカ言わないでくれよ! オレはオレで良かれと思って!」
「地雷を踏み抜いたのか。まさに発破だな」
「何もしないほうがマシじゃないですか」
「あんたちょっとしばらく黙ってな」
「うぐっ……ぐぉおおおお、手持ちの中でのオレいじめが酷いぜご主人よぉーっ! ぐふぁっ」
 きらりと涙をこぼした負け犬は、とおぼえしながらトレーナーの姿を探して走り去っていった――と思いきや。
「あれ、ルガルガンさん倒れましたよ?」
「なんかピクピク痙攣してんだけど……あぁ、あれかい。もしかしてヤトウモリのため息間近で嗅いじゃったから、毒回っちまったのかね。どうする?」
「放っとくわけにも行かんけど、モモンの実投げとけばいいだろ。そーら」
 ジュナイパーが見事なコントロールでルガルガンの口にモモンの実を放り込んだあと。
「……そういや、ご主人はどこにいったんだい?」
「あまりに気まずいから今日は離れた場所で寝るって言ってたぞ。ヤトウモリの様子だけ見といてくれって」
「ボクらに丸投げですか。無責任ですね……といいたいところですけど、今日は仕方ないですかね」
「あんた、時々しれっとキツいね……でも、実際どうすんだい? あのまま放っとくと、ヤトウモリの奴朝までフィラの実かじってるよ」
「明日まで混乱しっぱなしだと色々支障が出るが……でも、俺たちの中であいつに話を聞いてもらえそうな奴って……」
「――だったら、ワシに任せェ」
 響いたのは、重く低い、声。
「ワシの話なら、少しは耳を傾けてくれよォな」
「――そうか、お前なら……!」

「――のォ、ヤトウモリよ。ちょいとえェか」
 その声に、フィラの実をかじったヤトウモリが振り向く。
 そこにいたのは、紫色とオレンジ色の対象的な色合いが特徴の、ごつごつした体を持つポケモン。
「……ガントルのアニさん……あっしに、わざわざ何用で?」                   (了)



というわけで、うっかり続いた「とあるポケモンの悲劇」。
ウチのメンバー勢揃いです。なぜかバタフリーがボクっ娘キャラになってるのはポケスペのイエローの影響でしょうか。不思議。あとなぜかルガルガンが馬鹿になってしまった。なぜだ。
ゲーム自体は色々あってあんまり進んでないんですが、でも色々楽しんでます。
この悲劇SSはもうちょっとだけ続くんじゃよ。誰に需要があるのか分かりませんが、好き放題やってます。

それはそれとして、朝目が覚めたら一面真っ白になってて素直に驚きました。昼には雪溶けてましたけどね。

ではでは、本日はこのあたりでー。
 
 
 

 

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# by akr-hgrs | 2016-12-15 21:49 | Comments(0)

とあるポケモンの悲劇

「本当に……すまない……」
 そのトレーナーは、手持ちである一匹のポケモンへとそう語りかけていた。
 道中でもらった卵から孵ったポケモンで、始めて見たその姿に何となく愛着がわいたので手持ちに加えた。
 いつか、お前も立派に進化できる日が来る。楽しみだなぁ、なんて言って育ててきた一匹だ。
 しかし――
「ど、どうしたんですかい、ご主人? いきなりそんな……」
 一方のポケモンは困惑した様子で、ぽりぽりと頬を掻いている。
「今だって、ほら、他の先達の皆さんもいらっしゃるってぇのに、優先して育ててもらって……今じゃ、レベルだけ見りゃぁ上から二番目でさぁ。こうまでしてもらってんだから、謝られる筋合いなんざ……」
「いや……こればっかりは謝っても仕方のないことではあるんだが、それでも、謝らずにはいられない……俺にもう少し、トレーナーとしての知識があれば……」
「いや、だから一体何が――」
「――お前は、進化できないんだ」
 単刀直入に放たれた一言に、一瞬何を言われたのかとそのポケモンは動きを止める。
「い、いやいや、何の冗談で……? だ、だってほら、あっしにはあるじゃないですか、進化後の姿ってやつが。実際、ご主人だって見たでしょう」
「ああ……あのぬしポケモンだろう?」
 島めぐりの途中で見た、一匹のぬしポケモン。タイプの相性などから戦闘には出さなかったものの、その姿を見たトレーナーとポケモンは、試練を突破したあとにひどく感動していた。
 自分は、こいつは、いつかあんなポケモンになれるんだと。
「だが――お前は、あれにはなれないんだ」
「……あ、ああ、もしかして、あれですかい? レベル云々じゃなくて、道具とか、条件が揃える必要があるとか――」
「そういうことでも、ないんだよ」
「だったら、どうして――!」
 さすがのそのポケモンも、苛立って尾から炎を立てる。その様子を見て、トレーナーは帽子のつばで目を伏せた。
「……いいか、落ち着いて聞いてくれ。お前は――」
 そしてトレーナーは、自らも心を引き裂かれるような気持ちで、真実を口にした。

「――ヤトウモリは、♀しか進化できないんだよ」

「…………!!」
 そのポケモンは――ヤトウモリ(♂)は、絶句する以外に何もできなかった。    (了)



…………はい、唐突に始まった茶番劇ですが。なんでポケモンがトレーナーと喋ってんのとか、細かいことは言いっこなしで。もう喋れた方がシュール感がでて笑えるかなーと思ったので。

というわけでどうもこんばんは、日暮晶でございます。
自分はポケモンを、少なくともクリアするまではネットでの情報に頼ることは少ないんですね。初見のポケモンとかは何気に楽しみですし、どのぐらいで進化するのかなーとかっていうのも、知らない方がちょっとわくわくするので。
が、今回はそのやり方によってとんでもない大ポカをしたというお話です。

レベル40を超えても進化しないなーと思ったのが始まり。ほのおのいしを使うわけでもなく、さすがに条件が分からないのでネットで調べた結果、上記のように、ヤトウモリが♀しか進化できないという事実を知ったのが昨日の話。
いやぁ……結構なショックでした。下手をすると今作のポケモンで、ストーリーでどんなことが起こってもこれ以上の衝撃はないんじゃないかって言うレベルの。
で、その衝撃から生まれた茶番SSが上記のやつです。なんか頭の中ではもうちょっと続くので、気が向いたらその内放り込むと思います。

いや、だって、ビークインとかなら、あぁこいつ♀のミツハニーしか進化できないんだろうなーって思いますけど、エンニュートに進化できるのもまさか♀だけだなんて思わないですよ……勢い余ってかえんほうしゃまで習得したうちのヤトウモリが泣いてます。

ただ、やっぱりヤトウモリにショックを受けた人は少なからずいるみたいでちょっと安心。
ではでは、本日はこのあたりで。



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# by akr-hgrs | 2016-12-14 23:21 | Comments(0)

登場人物紹介

○黒原 虹華 (くろはら にじか) 女
 黒髪のボブカット。年相応の体つき。

 語り部兼主人公。ライトノベルの偏読家で色々と業の深い女子高生。


○白砂 霧 (しろすな きり) 女
 高校2年生 16歳 10月15日生まれ 身長・172センチ
 サイドテール。胸が大きい。

 虹華のクラスメイトで、虹華が唯一クラスでまともに話す友達。
 身長も胸も懐も大きい社交的少女。


 というわけで、前と同様、以下Moreより本編開始です。
 虹華の親友、霧ちゃん登場。
 第一話と銘打ってるわりに、さして話が進むわけではありませんが。結構短いですし、まだ序章とさして変わらないかもしれないですね。
 ではでは、どうぞ。



More
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# by akr-hgrs | 2016-12-13 06:42 | Comments(0)

恥を晒す

前に青年と中年の間って何だろうねって話題を以前出しましたが。
調べてみたらちゃんとあったみたいですね。辞書とかの上では「壮年」ってのが正解だそうです。

いやあ、いい恥かきました。これで知識が一つ修正されたのでよかったよかった。

というわけで生き恥晒しながら生きてます、日暮晶でございます。

とうとう自分の住んでる場所でも雪を観測しました……どうりで冷えるわけだ。空気がキンキンですからね。
これから先の晴れの日は路面凍結にも注意しなければ。

ポケモンはやっとこさ炎の試練突破。山男突然の乱入で吹き出しました。
メインパーティにはピカチュウと入れ替えでヤトウモリin。タイプがどく・ほのおとか、見た目に色合いとか個人的にツボ。攻撃する時に尻尾あたりからなんか出るのも往年のヒノアラシを思い出しますね。
戦闘に際しても、現状確実に半分以上体力を削れるりゅうのいかりが便利。周辺で出てくるヒノヤコマは経験値がおいしいのでごりごり狩ってます。辺り一帯が焼き鳥だらけになる日も近い。

ではでは、本日はこのあたりで。

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# by akr-hgrs | 2016-12-11 18:13 | Comments(0)

ゆるゆる

今年もあと二十日ちょい……なにからしなくちゃいけないか、そろそろ真面目に考えなきゃいけないですかね。

それはさておき、今回はゲームの話。
ポケモンは超スローペースで進んでます。結局一日一時間も捻出できてないのと、捕まえたポケモンをやたらと野生勝負で育てたがるせいでほんっと進まない。今日やっとスイレンの試練突破したとこです。
ネットとかでちょこちょこスイレンのイラストとか見るけど、あぁなるほどなって思いました。キャラが立ってましたね。
ガントル交換してギガイアスにしたいけど交換に付き合ってくれる人が身近にいない悲しみ。
ネット介して交換とかもできるみたいですけど、戻ってくる保証がないので手を出しにくいですね。戻してもらおうと思って切断されたらそれまでですし。
まあ、のんびり進めていきます。

白猫は入れ替えガチャが……計44連回しても本命の男気天使現れず。タイトルゆるゆるになってるのは、願望です。悪魔すら来てません。男気天使はキャラが好きなだけに惜しい……が今回は撤退。正月もあるし……島掘って石貯めねば……。
今回の入れ替えは評価見る限り、悪魔の方が火力ぶっ飛んでるみたいですね。バフやら何やらの条件込み込みで与ダメージ一億超えるらしいです。マジか。
現状一千万とかでも正直どうなんだろうって火力なのに……ピースフル(だったっけ。氷結じゃない方だからあってるはず)のナイトメアゴーレムを何発で沈められるんでしょうね。あの辺の敵の体力も大概おかしなことになってますからね。
一方男気天使ことルカは、どうしても実験的要素が抜けきらない節がある。まぁ魔術師の強化に絡めたスキルやらASやらは、今回の入れ替えに限った話じゃないですけど。竜強化の時の顔おっさんとか、双剣強化の時のティナとかもそうでしたね。
フレンドさんの持ってる奴を見る限り、ルカはASやらスキルからして、火力出したいときは一度死ななきゃダメみたいですね。
ただでさえ防御アップがあって固めで死ににくいのに、そこに自動回復、自動反撃までついてるんですよね……こいつ、そもそも死ねるのか? ミノブーメランでもそうそう死なないだろう、これだけ色々ついてたら。
そして一度死んで生き返ったら強くなるって、お前は死ぬ気丸でも持ってんのかとちょっと思いました。

クリスマスでティナとクレア同時にお迎えしたので運を使い切っちゃったかしら。ちなみにティナは7凸完了。モチーフも交換から即スロット解放、通常攻撃10%にAS30%もつけました。二千万Gの対価としては中々ではなかろうか。割と評価は微妙らしいですが、オリジナル持ってないので嬉しいです。なんだかんだ使いやすくてそこそこ強いですし。

さてさて、今日はこの辺で。

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# by akr-hgrs | 2016-12-10 20:46 | Comments(0)

物書きの蝉、もとい物書きの日暮晶が綴る、雑な日記のようなもの(予定)
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